運動中の筋活動からみた陸上グレステン・グランジャーと雪上アルペンスキーとの近似動作について
○加藤 満(北海道浅井学園大短大部)
○谷口圭吾(夕張郡由仁町立病院)
○竹田唯史(北海道浅井学園大)
【目的】
複合車輪付きのグレステン・グランジャーは、アルペンスキーの基本動作の練習に活用できるように開発された。これは、野外の硬い面の特殊プラスチック製のゲレンデ内を走行するが、雪上スキーの技術に似せた運動が可能と言われている。そこで本研究でグレステン・グランジャー走行中の身体各部の動きに於ける筋電図、及びVTR撮影の記録をもとに、雪上スキー滑走中の筋活動と比較しながら双方の筋似する諸動作について検討する。
【方法】
対象は基礎スキー技能競技会に出場している男性スキーヤー2名である。被験筋は右側の前頚骨筋、内側腓腹筋、内側広筋、大腿二頭筋、長内転筋、脊柱起立筋の計7筋とし、筋電図記録は携帯用ホルダー筋電計(ME3000P)×2台を用い、皮膚表面双極誘導法により導出すると同時に、ビデオ撮影にて運動中の動作を記録し筋電図と同期させた。
雪上の測定ではターン巾5m50cm、平均斜度15度、及び落差20mの滑走コースを設定し、そして右下股が外足となる2ターン目を記録し分析した。
陸上の設定では雪上とほぼ同様の測定条件で実施するが、グレステン・グランジャーの走行バーンの斜度がスキー場よりやや緩やかであった。尚、雪上では従来のノーマルスキーと最新の形状カービングスキー板2種類を用い、用具による動作の違いを考察した。
【結果と考察】
被験者2名の筋活動の定量分析から、各運動局面における全7筋を合わせた総平均筋活動量では、ターンの仕上げ期と始動期においてグレステン・グランジャーが両スキーの量よりも少なかった。
全体的なターンの筋活動量を求めると、グレステン・グランジャーはカービングスキーとほぼ同等の値を示し、それはノーマルスキーよりも約12%少なかった。
グレステン・グランジャーの場合、ターン全体では筋活動量的な面が比較的少なく、カービングスキーのそれと似た傾向が現れた。